将棋のタイトル戦「叡王戦(えいおうせん)」で、解説者の田中寅彦さんと藤田綾さんの会話。
藤田「あっ、孫の手が」
田中「得意戦法出ましたね」
藤田「ふふふふふ」
田中「みんな色んな小道具持ってますけどね、郷田さんのは特殊なんですよ」
何のことかと思われるでしょうが、火花散る対局中に「孫の手」を使う棋士がいるのです。それは郷田真隆さん。タイトルも持っている実力者で、上品なふるまいから「格調高い」棋士として有名です。
実際に行われた対局中の郷田さんの「孫の手」をご覧ください。
シュッシュッシュッ。和服の外から中から、伸ばしたり縮めたり、自由自在に「孫の手」を使って、見事にかゆみを取っています。とても気持ちよさそうです。
おそらく郷田さんは、手でボリボリかくと見た目が美しくないので、「孫の手」を使っているのでしょう。「孫の手」は格調高い郷田さんならではの「美学」なのです。