なぜ将棋の佐藤天彦さんは「貴族」なのか?【投了リップ】

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佐藤天彦さんの投了リップ

「負けました」

 将棋では負けを悟ったら「負けました」と言って相手に頭を下げます。これが「投了」です。ハッキリ言って超屈辱。声に出して負けを認めるなんて。町の将棋道場では悔しすぎて、黙って席をたつおじさんもいるほどです。


 悔しいのはプロも同じ。なかなか負けを認められず、指し続ける人もいます。ですがそんな屈辱的な瞬間でさえ、優雅に決めるプロがいるのです。その人の名は「佐藤天彦」。

 27歳という若さですが、タイトル戦にも出ている実力者。そんな天彦さん、ネットではなぜか「貴族」と呼ばれ愛されています。

 なぜ「貴族」なのかと言うと、ファッションがオシャレで趣味も上品だから。なにせ好きなブランドは「アン・ドゥムルメステール」と「ドルチェ&ガッバーナ」。好きな音楽は「クラシック」ときています。

 とくにファッションのこだわりは強く、マイナビ将棋情報局のインタビューによれば、表参道の直営店でそろえた「アン・ドゥムルメステール」の服はなんと100着以上! そしてタイトル戦では「真っ白な羽衣」をまとい、まるで「天女」。※注 天彦さんは男性です。

 そんな天彦さんの「貴族」を決定づける事件が起こりました。それは羽生さんとのタイトル戦「王座戦」でのこと。

 負けが近づくと天彦さんは大きく頭を抱え、自慢のヘアースタイルをもてあそび出します。さすがの貴族も負けを認められずご乱心かと思ったそのとき、すっと「リップクリーム」を取り出したのです。

「負けました」

 リップクリームでうるおいに満ちた唇で、美しい声で投了したのです。かさかさの唇ではこうはいきません。リップのおかげで口をハッキリ開け、美しい声を出せるのです。なんて「美しい投了」なのでしょう。

 投了前に水を飲む人は多いですが、リップクリームは初めて。この「投了リップ」により、天彦さんは身も心も100%貴族になったのです。

参考動画 【将棋王座戦】佐藤天彦、『投了水』ならぬ『投了リップ』!?【第63期王座戦第1局羽生善治vs佐藤天彦】
参考記事 【ノーカット版】第63期王座戦挑戦者 佐藤天彦八段インタビュー「自信と期待の五番勝負」